SPT研究会について

 従来、情報セキュリティでは、技術的な対応を行うことで安全・安心な環境を利用者に提供できるとの考えから、主に工学的観点から研究が行われてきたといえます。しかしながら、攻撃者の中に被害者の心理学的な弱点を利用する「ソーシャルエンジニア」が台頭し、インシデントの対応においても、心理学的な側面を考慮せざるを得ない状況が発生しています。今後の情報セキュリティは、より心理学的側面へ配慮した研究が求められていると言えます。

設立の主旨

 従来、情報セキュリティでは、技術的な対応を行うことで安全・安心な環境を利用者に提供できるとの考えから、主に工学的観点から研究が行われてきた。しかしながら、攻撃者の中には、ソーシャルエンジニアリングと呼ぶ、被害者の心理的な面の弱さを利用して侵入を図る者もいた。本研究会では、利用者や不正行為者を心理学やヒューマンファクタ、安全工学等について研究対象とする。

 欧米では、内部犯行者を個人や組織の特質を考えてシステムダイナミックス的な分析をカーネギーメロン大学の Software Engineering InstituteでInsider Cyber Crimeとして研究を行っている。 また、ケンブリッジ大学のRoss Anderson教授やインディアナ大学Jean Camp等により、Security Psychologyの研究分野が確立されている。 一方、わが国では、今井秀樹元東京大学教授(現中央大学教授)により、同様の分野をヒューマンクリプトと名付けた。 本研究会が設立されれば、 わが国で初の当該分野に関する学術集団となる。

 さらに、日本では安心と呼んでいる概念に似た概念を、欧米ではTrust(トラスト)と呼び、学際的な分野で研究が進められてきた。 トラストは情報セキュリティとも関連し、さらに昨今、Dependability(高信頼性)とも似た概念である。本研究会では、このトラストについての分野も網羅する。

 2010年6月にトラストに関する国際会議IFIP TP2010が国内で開催され、2011年7月には論文誌特集号“Trust Management”が発行される予定であり、本研究会の立ち上げもそれと連動することとなる。

 本研究会の網羅する分野は、情報処理に関る分野以外の研究者にも興味ある内容となる事が予想され、新たな会員獲得にも繋がる可能性がある。

 今回の設立に関し、セキュリティやヒューマンインタフェース、分散と協調など幅広い分野からの発起人にお集まりいただいた。今後、学際的な研究者の情報交換の場として有用な存在となることが予想される。 

 

 

 

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